母を愛して父を知らない暗闇の子供

少年は父親を知りませんでした。 だから母親だけが頼りだったのです。少年はいつも心細かったのです。父親だけでなく、風景さえも見たことがありません。色彩も光も、実は母親の顔さえも知りませんでした。少年の眼(まなこ)には何も映りませんでした。花も虫も動物も、自分自身でさえもどこにもおらず、ひょっとすると、…