読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

駅前第四ビルが愛した植樹

何も持たない君に、武器はもう必要ない。

介護保険がなくなる日

介護保険を使うためには、ケアマネジャーを選ぶ必要があります。

介護保険がなくなる日

叔母を自宅介護すると決心したとき、どうやったら介護保険を使えるのかまったくわからず、役場まで行って相談したことがありました。

すると担当の方が名簿を持ってきて、この中の事業所から一つ選んで、そこからくるケアマネジャーさんに、細かいことを聞いてくださいと言われました。

ケアマネジャーさんを選んで、介護認定を取り、介護保険の申請を行う必要があるわけです。そうした手続きを踏まないと介護保険というのは、受けられません。

そこまで終わると、ケアマネジャーさんがケアプランを作ってくれて、ようやくデイサービスや訪問介護などのサービスを、介護保険適用料金で利用できるようになるのです。(1割負担です)

細かいことは一切、ケアマネジャーさんがやってくれますので、利用者は疑問や要求をケアマネジャーさんに直接、伝えるだけです。

ケアマネジャーさんは、要介護認定に応じたケアプランを作ってくれます。あとは何も難しいことはありません。

ただし介護保険と言うのは、キッチリと整備された制度であるかと言われれば、かなりの疑問が残ります。

これから私の経験談を書きますが、事実をありのままに記した内容ですので、参考にされるとよいかもしれません。

ただし法人名や個人名を出すことは差し控えますので、そのあたりはご了承、願います。

役場から教えてもらった事業所に早速、電話で連絡をとりました。

するとすぐにケアマネジャーさんをつけてくれるので、介護保険の申請を行います。

訪問介護とデイサービスを主に利用する予定でしたが、要介護1だったために、それほど多くのサービスを利用することはできませんでした。

ちなみに要介護認定の申請を行うと、訪問調査の方(市区町村の職員らしいです)が自宅へやってきます。そこで本人と面談し、要介護認定の重要度を決めるわけです。結果は当日ではなくて、後日知らされます。

要介護認定には、以下のような段階があり、数字が大きいほど、たくさんのサービスを看護保険で利用できます。

要介護状態区分 支給限度額 福祉用具購入費 住宅改修費 居宅療養管理指導
要支援1 49,700円 1年間で10万円(4月1日から翌年3月31日まで 同一住宅につき20万円 1ヶ月に2回までなど訪問回数に上限あり
要支援2 104,000円 同上 同上 同上
要介護1 165,800円 同上 同上 同上
要介護2 194,800円 同上 同上 同上
要介護3 267,500円 同上 同上 同上
要介護4 306,000円 同上 同上 同上
要介護5 358,300円 同上 同上 同上

*上記の支給限度額は標準地域のケースです。多少の地域差があります。支給限度額内で、実際に使った額の1割を、利用者は負担する必要があります。

このようにして、私の叔母も介護保険の利用をスタートしました。

ところが半年近くたったころ、事業所の所長という方が、私の家にやってきたのです。

直接、利用料を集金に来たというのですが、確か利用料に関しては、叔母の口座から自動引き落としだったはずで、それを伝えると、向こうのミスで引き落としがされないまま、この半年間、サービスを提供していたのだと説明を受けました。

また明日来ますので、銀行口座を確認してください、とのことでした。

それで銀行へ確認しにいったところ、どうやら本当にまったく引き落としのないままで、半年ほど、サービスを受けているようでした。

明くる日、所長さんが来たので、言われるままに料金を支払いました。ところが数日後、この事業所の本社から電話がかかってきたのです。

どうやら所長さんは同じ手口で200件ほどの利用者から集金し、そのお金を持ち逃げしたということでした。

後日、本社から来た人の話だと、わざと引き落としをせずに利用させて、数か月後に直接、集金に行き、お金をせしめるという、なんといっていいか、人生を棒に振るにはあまりにも幼稚な手口の詐欺でした。

詐欺と言っても利用者側は、一応未払いの料金を払っただけなので、実際に被害にあったのは企業側のほうです。

企業側も何とか利用者に全額とは言わずとも、いくらかは再度、支払ってくださいとお願いはしているようでしたが、利用者がそれで納得するはずがありません。

私も二度払いには応じませんでした。

このように、介護関係の会社は歴史も浅く、それでいて急成長しているところもあり、職員の質があまり芳しいとは言えない部分が多々あります。ちゃんと調べてから、キッチリした業者を選ぶ必要があるのは、今や常識と言っても差し支えないでしょう。

とても評判の良いケアマネジャーさんが、独立して会社を起こしているところもあるので、なまじ大きなところよりも、そちらのほうが安心できるかもしれません。

どちらにしても、満足できるサービスを受けられるかどうかは、ケアマネジャーさんの手腕にかかっている部分が大きいので、どの事業所を選ぶかという大雑把な分類から、どのケアマネジャーさんを選ぶかというミクロの視点に、時代が変わってきたというのが、偽りのない介護の現実です。

こんな詐欺に遭うような場面はめったにないでしょうが、訪問介護でヘルパーさんが家に来るようになってから、世の中にはいろんな人がいるんだなあと、つくづく世間の広さを思い知りました。

まず、訪問介護の半分の時間を、年寄りの前で歌を唄ってすますヘルパーさんがいたのは、予想の範囲をはるかに超えていました。

さすがに私の叔母も気味悪がって、私にあのヘルパーさんは、あかんとダメ出しをしたのですが、私が注意をすると、そのヘルパーさんの言い訳には本当に驚きました。

歌を唄って年寄りを慰めているんだから、私はちゃんと仕事をしている。素人は黙っていてください。これがプロの仕事だと、自信満々に語るのです。

私はあのころ、まだ若く、短気な性格も直っていなかったので、一喝して帰ってもらい、事業所のほうへも、電話でかなりの文句を言いました。

すると次に来たのは、短大を卒業したての可愛いお嬢さんでした。

非常に見た目もよく、礼儀も言葉づかいも丁寧だったので、今度は大丈夫だと思いました。

ところが数日後、叔母からはまたもやダメ出しがあったのです。

確かに可愛いお嬢さんは、人当たりもよくて優しかったのですが、家事がまったくできず、肝心の掃除、洗濯、料理といった分野では、何の役にも立たなかったのです。

これでは困ります。

今度はさすがの私もきついことは言えず、穏便にただ遠まわしに、もう少し家のことができるようになってから来てくださいねと、頭を下げるしかありませんでした。

ただし何人か、チェンジしている間には、しっかりしたバイタリティのあるヘルパーさんにあたるので、そこは嫌なもんは嫌だとハッキリ言えば、問題はなかったような気がします。

むしろ問題は介護保険という制度自体にあったのだから、やっぱり国は曲者です。

この制度は普通の感覚で考えると、おかしなところがいっぱいあります。

介護保険には適用外の項目がいくつかあり、これが何と言っても厄介です。

ヘルパーさんは、掃除はしますが大掃除の場合は、介護保険がききません。

窓の内側は拭いてもいいが、外を拭くと大掃除になるので、いたしません。

テーブルを動かして掃除をするのも、大掃除なので、いたしません。

図書館へ本を借りに行くのは保険の適用外だから、もちろんいたしません。図書館よりも遠い本屋さんで本を買うのなら、いたします。

このような制約がごまんとあります。しかも聞く話によると、事業所によって保険適応外については解釈がまちまちで、窓拭きについては内も外も、いたしませんのところが多いらしいです。

訪問介護というのは、利用者が思っているよりもずっと、制約が多いのが現実です。

ただしこれも、どこかで線引きをする必要があるので、仕方がないと言えばそうとも言えます。

とろこが介護保険の根本である、要介護認定が非常に曖昧なので、それが一番の問題なのです。

私の叔母は腰の骨が砕けていましたが、腎臓が悪かったために適切な処置ができず、始終、痛みと戦う認知症患者でした。

腎臓透析になるよりは、腰の骨が砕けていても我慢するほうがいいよと、主治医の先生から言われていたのです。

当然、自分一人でトイレへ行くのは、かなり面倒です。それでも最初のころは這って、必死にトイレへたどり着き、用を足していました。

そのあたりのことを、要介護認定の調査の方が、本人に聞くわけです。

「何とか一人でトイレにいけますか?」

このあたりは実生活だけでなく、プライドの問題が顔を出してきます。本人はトイレが不自由だとは言いにくいので、不自由は不自由ですが、どうにかしのいでいます、などと答えます。

すべてがこの調子でした。

ボタンははめられますか? 立てますか?

わずかでも曖昧な返事をしたら、全部、自立できるに丸が入るわけです。

これで私の叔母は、要介護1しかもらえませんでした。

私も当時はよくわからなかったので、黙ったままで聞いていました。そのうち病院などの待ち時間で、同じようなお年寄りと情報交換をしたりするようになったりします。すると驚くことに車椅子にも乗らずに、颯爽と歩くお年寄りが要介護2だったりするわけです。

颯爽と歩く要介護2のお年寄りはこちらから質問などをしなくても、ひどく得意げに、私の叔母に対して「あなたも要介護2を簡単に取れますよ」みたいな情報を伝授してくれるわけです。

実は泣きたくなるほど、私は世の中のこういう仕組みが嫌いです。

それでも次の年には、ほとんど状態の変わらなかった叔母に、私は要介護4を取らせました。

必要だったのです。私が叔母を介護するためには、それくらいの認定がなければ、困りました。最後は要介護5でないと、私は私の生活を犠牲にするしかなくなっていたのです。

これはすべて言い訳にしか過ぎませんが――。

ただしこういう状態が長く続けば、介護保険の掛け金を上げる必要に迫られます。この世の中は正直者がいつも、損をするようにできているのかもしれません。

そんなことがないように、役所の人はもっといろんな対策を講じるべきです。これがダメなら、次はこれ。それでもダメなら発想を転換して、根本から練り直す。でないとやがて介護保険も、立ち行かなくなるのは、目に見えているような気がします。

とんでもないことをやらかす地方議員の質にも問題はありますが、一般の人たちが何の関心も示さないところで、無駄なことが山ほど行われています。

ただし私も有罪です。後ろめたい気持ちがありますので、これ以上は声を大にしては言えません。とにかく年をとってもいろんな罠が、待ち構えています。

どうぞご無事に、生を全うされることをお祈り申し上げます。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました。

この記事を気に入ってくれた方に、次の記事をおすすめします。

www.8ssan.com

www.8ssan.com

www.8ssan.com

他のカテゴリーの、先頭の記事を紹介します。

ルーツ: www.8ssan.com

わるぢえ: www.8ssan.com

別の世界に住む家族: www.8ssan.com

駅前第四ビルが愛した植樹: www.8ssan.com

逆さに見える空: www.8ssan.com

www.8ssan.com

などがあります。時間があれば、ぜひ読んでください。よろしくお願いします。