駅前第四ビルが愛した植樹

何も持たない君に、武器はもう必要ない。

ドラッグやめますか、それとも人間やめますか

灰皿で友人が彼女の頭を何度も殴打するところを、私は見たことがあります。

ドラッグやめますか、それとも人間やめますか

こだわりが強すぎてときおりどうしても解決できない事案にぶつかり、跳ね返されて戻ってくるといきなり閃いて問題の極々、一部が解決する場合があります。

誰かが私に質問をしました。絶対に交通事故を起こさない方法はあるのか。

大阪南部と北部では言葉や気質に、かなりの違いがあります。北へ行くほど上品で、南へ向かうほどに荒っぽい。阪急沿線と近鉄沿線を比べてみれば、北部と南部の違いがよく分かります。

世界中を探せばきっと、地獄のような場所は存在します。地獄絵図は誰もが知っているはずで、でも日本には地獄がないと思っている人もやはりいます。学生のころの私がそうでした。バイト三昧で車を買って、それで遊ぶことばかりを考えていました。

交通事故を起こさない方法は、必ずあります。

もうすぐ結婚するという人が深夜にミナミでお祝いの最中に、地獄の鬼に絡まれて殴り殺された事件がありました。日本にもあちこちに鬼がいる地獄があって、子どものころにみんな親から聞かされていたはずでした。あの国道を渡るな、あの路地を曲がるな、夜の繁華街には行くな。

なのに都合よく何もかも忘れて、テレビの箱の中にはファンタジーな世界が本当に存在するのだと錯覚していました。だから私は二度も、交通事故を起こしたのです。

灰皿で彼女を殴打したのは、大学時代の友人でした。

私の家から大阪ミナミまでは自転車で30分ほど、私の家とミナミの中間くらいのところに友人は、マンションを借りて一人暮らしをしていました。確か青森とか山形とかの出身だったと思います。大阪でマンションを借りて大学へ通うくらいだから、おそらく実家はかなり裕福だったはずです。三回生まではあまり親しくなくて、四回生になってから急に仲良くなりました。

そのころ彼はミナミのクラブでDJのアルバイトをしていたそうです。

私は知っている人となら、数ミリの距離をしばらく保つことがいやいやながら可能です。知っている人といってもおそらく、気に入っている人とか敵意のない人という条件を私は無意識のうちにいつも、バリヤーみたいなもんで区別しているのだと思います。

だから私にバリヤーがあるというのは、どうやら信憑性があります。絶えずそこらじゅうに張り巡らしているはずで、ときおり厄介なことに私自身のバリヤーに私自身まで引っかかってしまい、私自身そのものを根こそぎ疎ましく思うこともありますが、私は絶対に私自身のバリヤーを手放しません。

しかし電車とかバスとか、公共の乗り物というのは不可思議な空間を作り出しています。私は見ず知らずの人と近づくことを好みません。ここでいう近づくという行為は内面ではなくて、あくまでも肉体的なことを指しています。念のために。

にもかかわらず、私のバリヤーは電車とかバスとかに乗っている間には働きません。別に私がスイッチの入り切りをしているわけではないのですが、やはり適材適所TPOはいついかなる場合でも大切です。もしも電車やバスにライオンとか熊とかが乗り込んできたとしても、彼らにそれなりのルールを守る意識とモラルが徹底されるのなら、私は彼らとも乗り合いができるような気がしてなりません。

友人と私は卒業のための単位がかなり不足していました。

灰皿

だから私は彼と親しくなり、毎朝、彼を迎えに行くことにしたのです。私のほうは学校へ行く習慣がつき、おそらく友人にしてもこのことについては何の不足もなかったはずです。

彼のマンションを訪ねると、部屋には毎朝、違う女性が寝ていました。クラブでDJなどをやっていると、特定の女性が隣に寝るありきたりな朝を迎えるわけではないようです。私は神経質で三半規管がやや敏感なため、男女を問わず慣れた相手を好みます。マンネリをこよなく愛して、違う日常に対して恐怖を抱くことさえありました。

最近の私はときおり映画を観ながら眠ることがあります。人形に名前を付けて眠る娘が、実は私とはまったく違うものを見ていることにようやく気づいたのです。飽きると人形の顔をつぶして表のゴミ箱に捨てたりします。彼女はずっと違うものを見続けてやがて大人になると、二つの顔を持つようになったのです。

そして誰もいなくなりました。

実は猫は人間とはまったく違う種類の現実を見ています。犬もやはり同じです。マンネリを極めつくして私の隣で眠るこの人も、ひょっとすると私とは次元の異なる現実の中で呼吸をしているのかもしれません。私はただ娘が見たものを覗きたいと毎晩企んで、企むたびに決してかないそうもない企みだと気づいた瞬間に意識を失います。

友人もまた、私が所持して当たり前だと思っていたありきたりなバリヤーを持ってはいませんでした。私たちは無事に卒業しましたが、彼が就職したという話はなく、実家に帰ったわけでもないようでした。前に住んでいたマンションの近くに住む女性の部屋で同棲していると、誰かが私に教えてくれました。

私の実家からも近かったので、懐かしく思い訪ねたことがあります。そこで見せられたのです。アルミだかブリキだか知りませんが、いびつな形をした灰皿で友人が彼女の頭を何度も殴打する場面を。

灰皿はもともとあんな形ではなかったと思います。テーブルの上で居心地悪そうにギッタンバッコンしてましたから、おそらく以前にもあの灰皿は彼女の頭を何度も何度も打ちすえた経験があったに違いありません。私は止めに入りました。すると彼は震える手で私の体を押しのけようとしました。力は私のほうが強かったので、彼はあっけなく諦めて引き下がりました。それから謝ったのです。彼が謝ったのは彼女ではなくて、私に対してです。

それからばつの悪そうな友人は私を近くのカフェに誘い、二人だけで少し話をしました。私はさっきのことには触れませんでした。彼の様子がおかしかったので、気を遣ったのです。しかしひょっとすると、彼が私に近づくことを私自身が無意識に拒否したのかもしれません。私にはそういう冷静だか冷たいのかよくわからない一面があります。それもこれもバリヤーのせいにしてもよかったのですが、なんとなく卑怯な気がしてあのときの私は私の性格通りの行動をとったのだと言い切ります。それから彼は私に金の無心をしました。財布にあった2万円を渡して私たちは別れたのです。

それからまた、彼のよからぬ噂話を耳にしました。

心配になった私はマンションを訪ねました。呼び鈴を押します。扉が開きます。けれどもチェーンを外してはもらえませんでした。わずかな隙間から覗いた彼女の顔は、まるで血を抜かれた女優のようでした。ひどく怯えているように見えました。彼はもうここにはいないと言い、私の顔も見ずに扉を閉めました。

おそらく彼女は私を彼の友人だとは認識していません。私の見ているものと彼女の見ているものは、そもそも違うのです。

交通事故を決して起こさない方法は、車を運転しないことです。子どものころに言われたように、あの国道を渡るな、あの路地を曲がるな、夜の繁華街には行くな。日本には地獄もあるし鬼もいます。見ているものはみんなそれぞれ別で、他人の目から見えているものは残念ながら私には見えません。

友人とはあれから一度として会っていません。どこで何をしているのか、噂を聞くこともなくなりました。彼のほうだって私のことをもはや知りません。だからもう二度と会えないに違いありません。でも今夜だけは映画を観ずに彼のことを懐かしんで、マンネリなベッドでぐっすりと眠ることにしました。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました。

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